2015年09月29日
言っても向こう

魔道士らの要請でメイコは皇宮の修理に必要な魔導槌を3本と、工事用の鎮守魔法陣を描くための鉄筆50本を魔導倉庫から取り出す。そしてそれらを現場に出向している魔道士に配るためメイコは心響に連れられて皇宮修理現場へと向かった。破壊された場所は単に再建するだけでなく保康絲香港、一つ一つに魔法をかけ、魔導攻撃への備えを強くするらしい。その為魔道士達は修行中の学生も含めて総動員されていた。
「ミクからも聞いたんだけど、釘一本から建築資材一つ一つ全てに魔法をかけているんですってね?」
「ええ、そうなんです。今回のことを教訓に、魔導で破壊された部分は魔導攻撃に耐えられるものにしていこうと皇帝が仰って pretty renew 傳銷・・・・・・暫くは魔導省に予算が沢山下りそうですけど、ここまでこき使われると割にあわないというか」
メイコの問いかけに心響がぼやく。それを聞いてメイコの眉が軽くひそめられた。
「それって他の予算が削られるとか、っていうんじゃ・・・・・・」
「削られますよ。特に軍の予算が・・・・・・っていうか今まで遠征続きだったので、向こう五年は必要最低限の出陣にするつもりだそうです。兵士達もようやく故郷過ごせますから文句はないでしょう」
「そううまく話が進めばいいけれど」
10日前の戦いで命を落としたリツは狄国の王族だ資生堂負離子直髮。しかも現国王と繋がりが深いと思われる。となると弔い合戦とばかりに狄国が攻め入ってくる可能性も高いだろう。いくらこちらが戦争をしたくないと言っても向こうはそう思っていないかもしれない。
「ま、その時のことはその時考えればいいか」
メイコが呟いたその時である。建築現場で働いている男達の中、ひときわ華奢な後ろ姿が目についた。実った小麦のような金色の髪は少々伸びているが、その姿にメイコは見覚えがあった。メイコは連れが止めるのも聞かずその後姿へと近づいてゆく。
「ねぇ、もしかして君・・・・・・レン君?」
その声に驚いたのか、華奢な後ろ姿の少年がメイコの方へ振り向いた。